ブロードウェイをはじめ、ニューヨークには様々なコンサートホール・劇場があります。もちろん注目すべきは、各劇場で行われるショーやイベントそのものなのですが、建築やデザインにご興味のある方は、オープンハウスやツアーの機会を利用すると、ちょっと違った楽しみ方ができます。
私が最近訪れて印象的だったのはワシントンハイツにある “United Palace”。繁華街から離れたWest 175stに位置するので、わざわざ訪れる人は少ないと思うのですが、10月中旬の “OPEN HOUSE NEW YORK” で内覧会が行われていたので参加してみました。
この建物は1930年にLoew’s Wonder Theatres 5番目のシアターとして建てられました。設立当初は映画館でしたが、Rev. Ikeが買収してから教会や劇場としても活用されるようになったそうです。設立時からほとんど変わらない内装のシアターで、現在も頻繁にイベントが開催され、日曜日は朝の礼拝が行われています。ではその内装はどうなっているかというと、足を踏み入れた瞬間からゴージャスさに圧倒されます!正面の階段に続く絵画、天井のシャンデリア、そして左右の彫刻が施された壁面とバルコニー…色々な場所に目が奪われて忙しいほどです。
そして立派なのは、ただ煌びやかなだけでなく、どこか厳かな雰囲気があるところ。このエントランスホールだけで結構な時間を過ごせます。
さて、3400人を収容するシアター内はエントランスに比べると、落ち着きがあるように感じますが見どころは尽きません。天井、壁、照明まで詳細なデザインが施されていて、建築に詳しくない私でも見入ってしまいました。タイやカンボジアの寺院に見られるようなアジア的(少し仏教っぽい)な要素と、イスラム建築の要素が入っているそうで、他にはない特別な雰囲気を作り出しています。また、廊下も気を抜いて歩けません。マネージャー・バルコニー・お手洗いのサイン、そしてドアや階段の周辺まで装飾がしっかりされています。
演劇も音楽も、歴史ある劇場で鑑賞すると特別感が増すものですよね。今回はオープンハウスということで建築見学が目的でしたが、コンセプトや建築背景を知って、近い将来は実際にコンサートなどをこのシアターで楽しみたい!と思いました。